体臭には、すぐにイメージされるいわゆる悪臭の他にも、ミルク（牛乳）のような甘い臭いを発する体臭もあります。
体臭とひとくちに言っても、その種類はさまざまです。
主な体臭には、遺伝的な要素が強く、わきを中心に発生するワキガ、30代半ばごろから50代半ばにかけて頭部を中心に発生するミドル脂臭、40代から胸や背中などの体幹部を中心に発生する加齢臭などがあります。
ここでは、ミルク（牛乳）のような体臭とは何なのか、そこに隠された病気や臭いの原因となる食生活について詳しく見ていきます。
▼体臭に関する内容を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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牛乳（ミルク）みたいな体臭の原因は「ワキガ」かも
ミルクのような臭いがする場合、ワキガが原因である可能性が高いです。
ワキガ臭には、カレースパイスのような臭い、酸っぱい臭いのほかに、ミルクのような甘い臭いが含まれることがわかっています。
10代〜20代の女性で甘い臭いがする、乳臭いといわれる場合は、10代〜20代の女性特有のスイート臭の可能性があります。
次からは、ワキガの原因や対策について見ていきましょう。
ワキガとは？主な原因
ワキガは、「腋臭症」や「アポクリン臭汗症」とも呼ばれ、脇の下から独特な臭いを発する状態のことを指します。
汗を分泌する汗腺には「エクリン腺」と「アポクリン腺」の2種類があり、ワキガの主な原因はアポクリン腺から分泌される汗です。
アポクリン腺から出る汗自体は無臭ですが、皮膚に存在する常在菌によって分解されることで特有の臭いが生じます。
ワキガの発症には遺伝が関係しており、アポクリン腺の数が多いほど、臭いが強くなる傾向にあります。
なお、アポクリン腺とワキガの関係については下記の記事でも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。
▼アポクリン腺とワキガの関係を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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ワキガの場合の日常的な対策
ワキガは独特な臭いですが、軽度であればセルフケアでも臭いを軽減することが可能です。
主な対策としては、「脇を清潔に保つこと」や「制汗グッズを使用すること」が挙げられます。
それぞれの対策について詳しく見ていきましょう。
脇を清潔に保つ
ワキガ対策の基本は「脇を清潔に保つこと」です。汗をかいたらウェットシートやタオルで拭き取ってこまめにケアし、臭いの発生を抑えましょう。
とくに「脇汗シート」は外出時のケアに便利です。
また、入浴時にはしっかりと汗や皮脂を洗い流し、清潔な状態を維持しましょう。
さらに、脇の毛を処理すると汗が毛にたまりにくくなり、雑菌の繁殖を防ぐ効果が期待できます。
制汗グッズを使用する
ワキガの臭いを抑えるには、制汗グッズの活用も効果的です。
汗の分泌を抑える作用や、殺菌作用のある制汗剤を使用することで、臭いの原因となる菌の繁殖を防げます。
制汗剤にはスティック、クリーム、スプレー、ロールオンタイプなどさまざまな種類があるため、使いやすいものを選びましょう。
使用する際には、汗や汚れを拭き取り、清潔な肌に塗ることも大切です。
肌に水分が残っていると成分が密着しにくく、汚れや臭いがあると製品の香りと混じって逆効果になることもあります。
ワキガの治療法
ワキガが重度の場合、病院での治療を検討する方法もあります。
代表的な外科手術としては「剪除法（せんじょほう）」があり、これは皮膚を切開してアポクリン腺を直接取り除く方法です。
また、脇を切開せずにマイクロ波を照射し、汗腺を破壊する「ミラドライ」という治療法もあります。
重度のワキガと診断された場合は、外科手術に対して保険適用されることがあり、費用負担を軽減できます。
根本治療を希望する方は、医師と相談しつつ治療を進める方法も検討するとよいでしょう。
体臭が牛乳臭いときに考えられるほかの原因
体臭が牛乳臭い（ミルク臭い）ときに考えられる原因のひとつにワキガが挙げられますが、ほかにも「糖尿病」や「ストレス」などが関係している可能性もあります。
ここからは、牛乳臭さに関するワキガ以外の原因について解説します。
糖尿病
ミルクのような甘い臭いがする場合は、単なる体臭ではなく糖尿病が関係しているかもしれません。
糖尿病になると、すい臓から出るインスリンが減少するので、ブドウ糖をエネルギーに変換できなくなります。
そのため、人体内部では代わりに脂肪を分解してエネルギーをつくり出そうとします。
その際に発生する「ケトン体」という物質が、甘い体臭の原因かもしれません。
今現在、生活習慣病のリスクがある方や、ミルクのような体臭が気になる方は、一度医療機関での検査を検討しましょう。
また、甘い体臭の原因については下記の記事でもまとめていますので、参考にしてみてください。
▼甘い体臭の原因を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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ストレスによる皮膚ガス
体の表面から放出される「皮膚ガス」には、牛乳のような臭いを伴うものがあります。
その原因のひとつが「ヘキサナール」という成分です。
ヘキサナールは、古い牛乳のような臭いを発し、とくに活性酸素による酸化ストレスが増加すると体内で生成されやすくなります。
ストレスが蓄積すると体内の酸化反応が活発になり、皮膚ガスとして臭いが現れることがあります。
皮膚ガスの臭いを抑えるためにも、「ストレスをためないような生活習慣を意識する」「自分なりのストレス解消法をもっておく」などの工夫が大切です。
牛乳の飲みすぎで体臭が臭くなることはある？
牛乳を飲むとミルクのような体臭になるのでしょうか？
答えは「NO」です。
牛乳を飲んだからといって、体臭がミルクのようになるわけではありません。
しかし、牛乳の飲みすぎには注意が必要です。
牛乳に含まれる成分が体臭に影響することがあるため、飲み方によっては体臭の変化につながる可能性があります。
ここからは、牛乳を飲むことによる体臭への影響について解説します。
たんぱく質の摂りすぎが体臭に影響する
体臭と食生活には密接な関係があり、普段からたんぱく質を過剰に摂取する方は体臭が強くなるといわれています。
肉食が中心の欧米人に体臭がキツイ方が多いのはそのためです。
人間の腸内には、ビフィズス菌や乳酸菌などの善玉菌と、大腸菌やウェルシュ菌などの悪玉菌が存在しています。
たんぱく質を取りすぎると、体に吸収されなかったたんぱく質が腸内に流れ込み、悪玉菌のエサとなることで腸内環境が乱れます。
アンモニアや硫化水素といった、臭いの強い有害成分を発生させ、血液を通じて汗や皮脂とともに排出された結果、体臭が強くなってしまうのです。
乳糖不耐症の方はガス（おなら）が気になることも
乳糖不耐症の方は、牛乳に含まれる乳糖を分解する酵素が不足している状態です。
そのため、乳糖が分解されずに腸内で異常発酵を起こし、腹痛や下痢、ガスの発生を引き起こします。
このガスが原因でおならの回数が増え、臭いが気になることもあります。
対策としては、医師と相談しながら乳製品の摂取を控えたり、乳糖が少ない牛乳を選んだりするのも有効です。
また、腸への刺激を抑えるために牛乳を温める、あるいは少量を数回に分けて飲むといった工夫もよいでしょう。
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食事が体臭に与える影響｜牛乳以外に注意すべき食品
体臭に影響を与える食品は牛乳だけではありません。
下記の食品も、食べる量によっては体臭に影響を与えることがあります。
- 肉類
- にんにく・ネギ・ニラ
- アルコール
- 香辛料
- 揚げ物・スナック菓子
それでは、ひとつずつ見ていきましょう。
肉類
肉類に含まれる動物性たんぱく質を過剰に摂取すると、アポクリン腺の分泌が活発になり、体臭が強まる可能性があります。
また、腸内環境が悪化する原因にもなり、腸内で発生するガスが体臭を強めることもあります。
肉類と体臭の関係については、以下の記事も参考にしてみてください。
▼肉類と体臭の関係を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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にんにく・ネギ・ニラ
にんにく、ニラ、ネギなどは強い臭い成分を含む食品で、摂取すると口臭だけでなく体臭の原因にもなります。
とくに「アリシン」という成分が臭いのもととなり、生のにんにくはその影響がより強くなります。
アリシンは加熱することで臭いが和らぐため、加熱してから摂取する、食べる量を控えるといった工夫をしましょう。
アルコール
飲酒はアポクリン腺の働きを活発にし、体臭を強める原因となります。
アルコールは体内で分解される際に「アセトアルデヒド」に代謝され、これが汗や息を通じて体外に排出されるため、独特の臭いを発します。
体臭が気になる方は、飲酒量を控えることが望ましいでしょう。
なお、飲酒による体臭への影響については下記の記事でもまとめていますので、ぜひご覧ください。
関連記事：お酒は体臭に影響する？アルコールのニオイ以外に注意すべきこと
香辛料
トウガラシをはじめとした香辛料は、発汗を促進し、汗腺を刺激することで体臭を強める要因になります。
刺激の強い食品は交感神経を活発にし、発汗量が増えるため、体臭が気になる場合は摂取量を調整することが大切です。
揚げ物・スナック菓子
揚げ物やスナック菓子は脂質の含有量が多く、汗腺や皮脂の分泌を活発にするため、体臭の原因となります。
揚げ物やスナック菓子など脂質を多く含む食品は、食べすぎないようにしましょう。
体臭の軽減におすすめの食品
食べすぎによって体臭を強めてしまう食品がある一方で、下記のような、体臭軽減に役立つ食品も存在します。
- アルカリ性食品
- 善玉菌を含む食品
- オリゴ糖を含む食品
- 食物繊維を含む食品
これらの食品についてひとつずつ見ていきましょう。
また、体臭を抑える食品については下記の記事もぜひ参考にしてみてください。
▼体臭を抑える食品を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
「野菜を食べると体臭は改善する？」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。 野菜不足の状態が続くと、体内の脂質が酸化しやすくなり、体臭が強くなる可能性があります。野菜には抗酸化作用を持つ栄養素が豊富に含まれており、体臭の原因となる皮脂の酸[…]
アルカリ性食品
体が酸性に傾くと、体臭が強くなりやすいといわれています。
そこで、アルカリ性の食品を取り入れることで、体内の酸性状態を中和し、体臭を抑える効果が期待できます。
アルカリ性の食品で代表的なのは「梅干し」です。
その他、野菜や果物もアルカリ性の食品が多いため、バランスよく取り入れましょう。
善玉菌を含む食品
腸内環境が悪化すると、腸内で有害物質が発生し、それが体臭の原因となることがあります。
そのため、腸内の善玉菌を増やして環境を整えることが重要です。
腸内環境をよくする食材の例としては、ヨーグルトや納豆、キムチ、味噌などの発酵食品が挙げられます。
これらを積極的に摂取することで腸内環境が良好になり、結果的に体臭の軽減が期待できるでしょう。
オリゴ糖を含む食品
オリゴ糖は腸内の善玉菌のエサとなり、善玉菌の増殖を促す糖類です。
善玉菌が増えることで腸内環境が改善され、悪玉菌の活動を抑えることで体臭の軽減につながります。
オリゴ糖を多く含む食品には、はちみつ、バナナ、とうもろこし、大豆などがあります。
これらの食品を日常的に取り入れることで、腸の健康維持に役立つでしょう。
食物繊維を含む食品
食物繊維は腸内環境を整え、腸内の老廃物を排出するはたらきがあります。
腸内の悪玉菌が減ることで、有害なガスの発生が抑えられ、結果的に体臭の軽減につながります。
食物繊維は野菜類、海藻類、きのこ類などに多く含まれているため、これらを積極的に摂取して腸の健康を保ち、体臭を抑えましょう。
牛乳と体臭に関するよくある質問
牛乳と体臭に関するよくある質問について、下記にまとめました。
- にんにくの体臭を消す方法に牛乳が効果的って本当ですか？
- 牛乳石鹸は体臭対策に役立ちますか？
- ヨーグルトは体臭が臭くなる原因になりますか？
それぞれの質問について、ひとつずつ見ていきましょう。
にんにくの体臭を消す方法に牛乳が効果的って本当ですか？
牛乳は、にんにく臭の消臭に役立つ食品のひとつです。
にんにくに含まれる臭い成分「アリシン」は、牛乳のたんぱく質と結びつくことで臭いを抑える効果があるとされています。
にんにく入りの食品を食べる前後に牛乳を1杯（100〜200ml）飲むだけでも、にんにく臭の軽減が期待できるという研究結果もあります。
にんにく臭が気になる場合は、牛乳を摂取してみましょう。
牛乳石鹸は体臭対策に役立ちますか？
牛乳石鹸は、体臭対策に役立つ石鹸のひとつです。
洗浄力が強すぎる石鹸だと、皮膚が乾燥して皮脂の過剰分泌が起こり、体臭が悪化する可能性があります。
その点、牛乳石鹸には「ミルクバター」をはじめとする保湿成分が含まれるため、汚れや皮脂を落としつつも肌の過度な乾燥を防ぐ効果が期待できます。
これらの理由から、牛乳石鹸は体臭対策に役立つ石鹸であるといえるでしょう。
ヨーグルトは体臭が臭くなる原因になりますか？
ヨーグルトは、むしろ体臭を抑えるのに役立つ食品です。
腸内の悪玉菌が増えると、有害物質が発生し、それが体臭の原因となることがあります。
ヨーグルトに含まれる善玉菌（ビフィズス菌や乳酸菌など）は、腸内の悪玉菌を減らし、腸内環境を改善することで、体臭の軽減に役立ちます。
ただし、たんぱく質の過剰摂取は逆に臭いの原因になることもあるため、摂りすぎには注意しましょう。
ヨーグルトの摂取と体臭の関係については、下記の記事でも詳しく解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
▼体臭とヨーグルトの関係性を知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
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まとめ：牛乳のような体臭の原因は病気かも
今回は、ミルク（牛乳）のような甘い臭いのする体臭について取り上げました。
この臭いの原因として、ワキガや糖尿病の可能性も考えられるため、気になるようであれば医師の診断を受けることも視野に入れましょう。
また、食生活の乱れも体臭に影響を与えるため、日々の食事内容を見直し、バランスのよい食事を心がけ、体臭予防をしていきましょう。
