- 口臭が人にどのような印象を与えているか不安…
- 口臭を改善する方法が知りたい
この記事を見つけてくださった方の中にはこのような不安をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。口臭は誰にでも発生するものですが、近年多くの人がその臭いを気にしています。口臭が発生する原因は口腔内の問題、内臓器官の不調など様々なことが考えられます。
本記事は、理化学研究所敷地内の研究施設で体臭研究をしつつ、これまでに3,000人以上の体臭評価・アドバイスを行ってきた臭気判定士(においに関する唯一の国家資格)の石田翔太が「口臭の発生するメカニズム」「口臭の改善」について解説します。自分で口臭を確かめる方法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
口臭とは
口臭が発生する原因は大きく分けて4つ考えられますが、殆どの場合が、口腔内の問題の可能性が高いです。
以下では、口臭を発生させる口内の病気など、4つの原因を解説していきます。
口腔内の問題
口臭は、本来誰にでも発生するものです。ですが、口腔内の病気が原因で臭いが強くなることがあります。
例えば、虫歯、歯周病、唾液の分泌量の低下です。
また、口腔内の食べかすも臭いを強くする原因の1つです。口の中にある細菌が食べかすを分解することで、臭いを発生させます。
デンタルフロスを使用しない場合、歯の間に挟まった食べかすが臭いの原因になることがあるため、口内のケアが重要です。
虫歯
虫歯の間にたまった虫歯菌や食べ物のかすが、口臭の臭いを強くする原因となります。
虫歯は主に、歯に付着した細菌が糖を分解し酸を作り、歯を溶かすことで発生します。多少の虫歯菌は強い臭いの原因にはなりませんが、放置した状態でいると段々と口臭が強くなっていきます。
歯磨きでは虫歯菌を抑制することができない可能性もあるので、早めの医師の診察が必要です。
歯周病
歯周病は、口臭の原因となる歯垢(プラーク)をためることがあります。
歯垢は細菌やたんぱく質が含まれているため、そのたんぱく質を細菌が分解し、口臭を発生させることにつながります。
歯周病は細菌によって、歯と歯茎が溶けてしまう病気です。口臭が気になる方の中には、歯周病が原因の可能性もあります。
自分では気付きにくい病気であるため、医師への定期的な診断を欠かさないように心がけましょう。
舌苔
舌の表面に付着している白色、黄色のものが舌苔です。
舌苔にもたんぱく質や細菌が含まれているので、口臭の原因になるのです。体の調子が悪いときなどに舌苔は、増える傾向にあります。
舌苔を減らすだけでも口臭は弱くなるので、ブラシで舌を磨き、舌苔を取り除くようにしましょう。
歯石
歯石は、歯垢が唾液に含まれるカルシウムなどと結びついて石灰化したものです。
歯石は通常の歯磨きでは、取ることができないこともあります。歯石は、歯茎の化膿や出血を引き起こすので特徴的な臭いが印象に残ります。
例えば、膿の臭いやドブのような臭い、腐卵臭などが出るので、歯石が発生しないようにすることが重要です。
そのため、歯垢が着かないように歯磨きやデンタルフロスといった口内のケアをこまめにすることが大切です。
唾液の減少
口腔内の病気が問題で、唾液の減少が起こることがあります。少なくなることによって口の中が乾くと、細菌の繁殖にもつながるため、口臭が強くなることがあります。
例えば、シェーグレン症候群といった病気は唾液腺に異常が生じ、分泌量が低下するためドライマウスを引き起こします。
また、唾液は抗菌成分が含まれているため、細菌の繁殖を防ぎます。唾液腺の働きが鈍くなることは加齢が要因の可能性もあるため一概に口腔内の問題とは言えませんが、シェーグレン症候群などの病気が引き起こすこともあります。
咀嚼の量を増やしたり、唾液腺をマッサージしたりして分泌量を増やすことができます。
蓄膿症などの口や鼻の病気
蓄膿症(副鼻腔炎)は、副鼻腔にたまった膿の臭いが口や鼻の奥からするため、口臭が膿臭くなることがあります。
また、副鼻腔炎は鼻での呼吸が難しくなるため、口呼吸が増えることに。
ドライマウスの原因になりますので、口の臭いが悪化してしまいます。
差し歯や詰め物の臭い
虫歯治療に使われた差し歯や詰め物のプラスチック、金属の臭いは口臭の原因になります。
長く使用していることによって空いた隙間に食べ物のかすが挟まり、臭いを発生させます。
自分でも知らない間に劣化していることがありますので、知らないうちに口臭を発生させているかもしれません。
身体の問題(口腔内以外)
内臓や呼吸器の異常が口臭の原因になります。
特に肝機能は関係ないと思われがちですが、アルコールや食べ物の影響で肝機能の不調が起こると口臭が強くなります。
肝機能の低調
肝機能の低下は、口臭に影響を与えることがあります。
肝硬変や劇症肝炎などの肝疾患が進行すると、肝臓がアンモニアを適切に処理できなくなり、血液中のアンモニア濃度が上昇します。その結果、呼気中にアンモニアが含まれ、下水やカビのような口臭や尿臭のようなツンとした口臭が発生することがあります。
また、肝臓の健康を損なう生活習慣(過度の飲酒や暴飲暴食など)が口臭の原因となることもあります。
肝機能の低下が疑われる場合は、早めの診察が重要です。
呼吸器官の不調
肺腫瘍などの病気は、口臭の原因になります。
痰や膿がたまりやすい場合、口臭からそれと似たような臭いが発生するからです。
慢性的な口臭が気になる場合は、呼吸器の不調の可能性もあります。
健康診断をかつようしたりして、身体に異常がないか確認するようにしてください。
食べ物の影響
食べるものは口臭に大きく影響します。例えば、ニンニクやニラ、カフェインなどです。
ニンニクやニラ、玉ねぎにはアリシンという成分が含まれており、口臭を強くします。また、アブラナ科の野菜はインドールという物質が含まれており、腐ったような臭いが発生する点で特徴的です。
食べ物を食べた後は、他の口臭対策に優れた食べ物や口臭スプレーなどを用いることで、抑制することができます。
ストレス・心理的要因
ストレスや心理的な不安は口臭に影響します。
ストレスの影響で自律神経の働きが優位になり、唾液の分泌量が少なくなり、口が乾きやすくなるからです。できるだけ、リラックスした状態を心がけ、口臭が強くならないようにしましょう。
喫煙・飲酒
タバコやお酒は、それを嗜んだあとは口臭が強くなりがちです。
時間が経てば臭いはおさまるようになりますが、臭いが染みついた場合は簡単にとることができません。習慣的に喫煙や飲酒をする方は臭いが強くならないように心がけましょう。
口臭の臭いの例え
口臭はいくつかの臭いの特徴があると考えられます。例えば、腐卵臭や膿のたまったような臭い、ドブのような臭い、直前に食べた物の臭いなどです。
誰にでも生理的な口臭は発生しているので、ある程度の臭いはします。
ただし、周囲の人から指摘されたり、どうしても自分で気になる方は一度、診察を受けてみてください。
口臭を改善させる方法
口臭は、適切な対策方法をとることで臭いをおさえることができます。本項では、口臭対策としておすすめな方法を紹介します
歯磨きをする
歯磨きの仕方が悪いと歯垢が残り、歯周病や虫歯の原因に。歯科医院で歯科衛生士の指導を受け、自分にあった適切な歯みがきの指導を受けましょう。
何度も使用している歯ブラシは毛先が開き、不潔な状態になります。月に一度を目処に変えると良いです。
また歯間ブラシやデンタルフロスも併用することで、歯や歯肉付近の雑菌を取り除くことができます。歯の間に挟まったものが、虫歯や歯周病の原因となり、口臭を発生させる可能性があります。
歯磨きやデンタルフロスは、口臭対策でも簡単にできる方法だと思います。お昼や忙しいときは歯磨きを忘れがちです。口臭が気になる方は食後に歯磨きをすることを心がけ、少しでも臭いを緩和できるようにしましょう。
舌を磨く
舌の舌苔は、口臭の原因に。舌が白色や黄色になっているときは、歯だけでなく、舌も丁寧に磨きましょう。ブラシを舌の奥の方から手前に動かすことで、舌の汚れを取ることができます。
ただし、強くゴシゴシと磨いてしまうと舌を傷つけることに。
優しく磨いた後、水で口をすすぐことで細菌や舌の食べ物の汚れを取ることができるので、歯磨きの際には忘れずにやると良いです。
舌苔がなかなか取れない方は、舌を磨く用のブラシを使うことをおすすめします。舌の汚れを取るだけで口臭は抑制されるので、舌を磨くのを心がけましょう。
病院にかかる
口臭が気になる方は歯科や内科などにかかり、医師の方に診察してもらいましょう。
多くの場合、口臭は口腔内の問題と考えられるので、歯科で診察をまず診察を受けてみてください。歯周病や虫歯の場合は、医師の方から治療を受け、適切な対処方を講じて口臭対策をしてください。
口内に問題がない場合は、呼吸器や肝機能に問題がある可能性が高いです。肺腫瘍や肝不全は膿の臭いといった口臭を引き起こすことに。
健康診断で異常がなかったとしても、内臓などに不調があるかもしれないので、口臭が気になる方は診断を受けてみてください。
食べ物で対策する
脂質や臭いの強い食べ物は、消化・吸収をするときに口臭が強くなります。例えば、ニンニクやお肉などは口臭を強くする食べ物です。
そのため、口臭を強くしてしまう食べ物ばかりではなく、栄養バランスが整った食べ物を摂取することが重要です。
また、食べ物の中には口臭を抑制させるものがあります。例えば、リンゴはリンゴ酸やポリフェノールと言った成分が含まれており、食物繊維も豊富なため、口臭や体臭を抑えます。栄養バランスを心がけ、口臭を対策しましょう。
ガム
ガムを食べることは、口臭を予防する方法の1つです。
ガムには、より強い匂いで嫌な臭いをごまかすマスキング効果があります。ミントやキシリトール系のガムはより口臭を抑制する効果があります。ガムは、「クロロフィル」や「フルボノイド」が含まれている消臭効果の高いものを選ぶと良いです。
また、ガムを噛むことは舌苔を取り除き、舌を清潔にしたり、唾液量の分泌を促す効果もあります。
唾液が減少していると感じる方は、ガムを噛むことで唾液の量を増やすことができるので、ガムで口臭予防をしてみてください。
ストレスをためないようにする
ストレスは唾液の分泌量を増加させ、口臭を強くします。そのため、口臭を抑制するためにリラックスできる状態を保つことが重要です。
ただし、人に会う前など緊張状態が解けない場合はなかなかリラックスするのが難しいことも。その際は、口をゆすいだりして口が渇いている状態が続かないようにしましょう。
口臭を自分でわかる方法
口臭は、気付くことが難しいと思われがちですが、自分でわかる方法があります。
理由としては、唾液や息を確認することで、自分の臭いを確認することができるからです。
例えば、ティッシュを用いて唾液を簡単に確認する方法などがあります。ただし、飲食後や起床後は口臭を自分で確かめるのを避けましょう。口臭が上手く判断できないためです。
自分の口臭がどのように思われているか気になる方は、試してみてください。
1.唾液の確認
自分の口臭がどのように思われているか気になる方は、試してみてください。
唾液の確認は、自分の口臭の有無を調べるのに有効な方法です。手の甲などに唾液を付着させ、臭いを確かめましょう。
理由としては、口臭の原因が唾液そのものにある可能性が高いからです。本来無臭のはずの唾液から臭いがする場合、乾燥や細菌の繁殖といった口内環境の悪化や、喫煙などの原因が考えられることができます。
そのため、自分の口臭がどのように思われているか気になる方や、自分の口臭が臭くなる原因に心当たりのある方は、まず唾液の臭いを確認してみると良いでしょう。
2.ビニール袋やコップに息をふき込む
唾液の確認は、はばかられる方もいると思います。そんな方におすすめなのが、ビニール袋やコップに息をふき込む方法です。
家にあるものできるので、手軽に行うことができます。無臭のビニール袋とコップを用意して、自分でチェックしてみましょう。ただし、誰でも口臭が気になる場面もあります。朝起きたすぐは口の中が乾燥し、普段の口臭とは異なるため、起床直後は避けるようにしましょう。
また、空腹の際の口臭は誰でも気になるもの。唾液が出るのを待って、息をふき込むようにしてみてください。
具体的な方法
家にある無臭のビニール袋とコップを用意します。使用するのは、無臭のビニール袋かコップです。
臭いや汚れがついている場合は、袋やコップに染みついた臭いと口臭で勘違いしてしまうことがあります。普段使いのコップを使う場合は、一度洗剤で臭いがしなくなるまで洗い落とします。
一度だけビニール袋やコップに、息をふき込みます。そして、密閉してからふき込んだ息の臭いを嗅いでみてください。臭いがした場合、口臭も同じニオイであると考えられます。
手軽に口臭を確かめることができるので、ぜひ試してみてください。
3.ティッシュやガーゼを用いる
ティッシュやガーゼに唾液を染み込ませ、臭いをチェックするのも口臭を確認する方法の一つです。
ニオイつきの製品を避け、唾液を採取しましょう。唾液を採集しにくいこともあるため、水分を吸収しやすいティッシュやガーゼを使用しましょう。
舌の上や歯茎付近の唾液を拭い、乾燥するまで少し待ちます。口臭に問題がある場合、乾燥したティッシュやガーゼから臭いがするはずです。
ティッシュやガーゼを口の奥に入れすぎると、嘔吐いてしまうことが。ティッシュやガーゼで確かめる際は、注意が必要です。
4.手の甲や指で確認
手の甲や指を舐めて、乾燥した唾液の臭いを嗅いでみましょう。舐めるのは、手を洗った後の清潔な際に行いましょう。
舐めたすぐ直後は、臭いがわからにくいことも。乾燥を待って、唾液の臭いを確かめましょう。
5.舌苔がないか調べる
手の甲や指を舐めて、乾燥した唾液の臭いを嗅いでみましょう。舐めるのは、手を洗った後の清潔な際に行いましょう。
舐めたすぐ直後は、臭いがわからにくいことも。乾燥を待って、唾液の臭いを確かめましょう。
6.デンタルフロスを確認してみる
デンタルフロスは、臭いも確認できます。歯に挟まった食べ物を取り除くことができるため、口内環境のケアにもつながり、虫歯などの予防することもできます。
デンタルフロスを使用する長さに切って、歯と歯の間の歯垢を取り除きます。
デンタルフロスを軽くこすり、その臭いを確認してみてください。使用前のデンタルフロスと臭いが異なっている場合、それが口臭のニオイであると考えられます。デンタルフロスは、力強く歯をこすってしまうと歯茎から血が出てしまうおそれもあります。適切に使うようにしましょう。
6.口臭チェッカーを使う策を
市販の口臭チェッカーは、自分の口臭を数値化して表わすことができます。
悪臭の原因となる揮発性硫化物を測り、口臭の状態を知れます。ただし、喫煙後などは数値が正しく出ないため、使用は控えるように。
医療機器と違い、市販のものは数値がまちまちですので、どうしても口臭が気になる方は医療機関で診断してもらいましょう。
口臭は誰にでもあるもの
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事では口臭が発生する原因や対策方法について解説しました。口臭を改善するためには正しいケアが大切です。ぜひ記事で紹介した対策を実践して、口臭改善に役立てていただけましたら幸いです。