ワキガで悩む方の中には、これからワキガ手術を受けるかどうか迷っている方もいらっしゃると思います。一方で、「どのような手術方法があるの?」「傷跡やダウンタイムはどれぐらい?」といった疑問から、ワキガ手術をためらっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
また、実際にワキガ手術を受けた後、術後の経過が心配でこの記事を見つけてくださったかたもいるでしょう。
そのような方に向けてこの記事を書きました。
本記事は、理化学研究所敷地内の研究施設で体臭研究をしつつ、これまでに2,000人以上の体臭評価・アドバイスを行ってきた臭気判定士(においに関する唯一の国家資格)の石田翔太が「ワキガ手術の種類と、傷跡やダウンタイムといった手術に関してよく頂くご質問」について解説します。
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ワキガ手術の種類
ワキガ手術には大きく分けて、「剪除法」と「切除法」の2つの種類があります。
ここでは、2種類のワキガ手術について詳しく解説していきます。
①剪除法・反転剪除法・皮弁法
ワキガ手術の1つ目は「剪除法」です。この方法は「反転剪除法」や「皮弁法」とも呼ばれています。
「剪除法」は、ワキの下を約4cmほど切開し、執刀医がアポクリン汗腺を目で確認しながら取り除いていく方法です。
線除法には保険が適用される場合がありますので、医師が手術の必要な程度の強いワキガだと判断した場合、保険適用で安価に治療を受けることができます。
ただし、メスを入れる方法なので傷跡が残ってしまいます。
②切除法
ワキガ手術の2つ目は、「切除法」です。
「切除法」とはアポクリン汗腺を皮膚ごと切除する方法です。切った後に違和感が残ることなど、日常生活への支障が大きいため、最近ではあまり行われていないようです。
また、全てのワキの皮膚を切除してしまうと日常生活に支障をきたしますので、ワキガの原因であるアポクリン汗腺を完全に除去することはできません。
しかし、老化で皮膚の大きなたるみが生じている場合など、広範囲の皮膚を切除できるケースでは、除去できるアポクリン汗腺の量も増えますので、十分な効果が見込めます。
ワキガ手術の傷跡について
手術の方法や個人の体質の差がありますが、ワキガの手術跡はだいたい1年ほどで目立たなくなります。
特に「剪除法」は、脇のシワに沿って切開しますので、1年後には手術跡がかなり分かりにくくなります。ただし、術後数ヶ月間は、強い内出血のような見た目である程度目立つことは避けれません。
また、保険適用外になりますが、傷跡が目立たないように配慮した手術を行ってくれる美容クリニックもあります。剪除法に興味があるけれど、傷跡が不安という方は、美容クリニックでの手術を検討してみてもよいでしょう。
ワキガ手術に関してよく頂く質問
ここまでで、ワキガ手術の種類や手術跡について解説しました。しかし、ワキガ手術に関する疑問は他にもあると思います。
以下では、ワキガ手術に関してよく頂く質問にお答えします。
ワキガ手術にはどんな種類がありますか?
ワキガ手術は大きく分けて、「剪除法」と「切除法」の2種類があります。
「剪除法」は、「反転剪除法」や「皮弁法」とも呼ばれています。現在では、多くの病院が「剪除法」でワキガ手術を行っています。
ワキガ手術の後遺症はありますか?
ワキガ手術の後遺症として、傷跡(手術痕)があげられます。
傷跡という後遺症はありますが、命に関わるような合併症の事例を私たちは聞いたことがありませんので、比較的安全な手術と言えるのではないでしょうか。
剪除法は脇のシワに沿って切開しますので、1年後には手術跡がかなり目立たなくなります。
ただし、「目立たないとはいえ、いつまで経ってもやはり気になる…」という方もいらっしゃることは知っておいていただきたいです。
ワキガ手術のダウンタイムはどれくらいですか?
手術の種類にもよりますが、剪除法の場合、ダウンタイム1はだいたい2週間程度と言われています。
ダウンタイム中は、腕を固定され、腕の上げ下げができなくなりますので、日常生活に大きな支障をきたします。
職業がオフィスワークなどの場合は仕事への影響は小さいかもしれませんが、ダウンタイム中に重いものを運ぶような仕事はできませんので、職業によっては手術を受ける時間を確保することがが難しいと思われます。
そうした理由から、ダウンタイムの不便さを軽減するために、ある程度の期間を空けて、片脇ずつ手術を行う方もいらっしゃいます。
*1ダウンタイムとは手術後の痛みや生活制限が緩和され、もとの生活に戻るまでにかかる期間のことです。
ワキガ手術の痛みはどれくらいですか?
手術中は麻酔をしているので痛くありませんが、術後、麻酔の効果が切れた時から感じ始めます。
痛みの感じ方には個人差があり、それほど気にならないという人もいれば、痛くて夜眠れないという方もいらっしゃいます。
術後の痛みが不安な方は、医師から痛み止めの薬を処方してもらうようにしましょう。
また、術後の痛みがなくなった後も、傷跡が安定するまでは皮膚がつっぱりているように感じる方もいます。
ワキガの再手術はできますか?
ワキガの再手術は可能です。
実際に、「治療後の効果に満足できない」「ワキガの臭いがまだ残っている」と感じて再手術を受ける方もいらっしゃいます。
ただし、ワキガの再手術を行う際は、1回目よりも費用や時間がかかるため、医師から詳しい説明と入念なカウンセリングを受けることが大切です。
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ワキガ手術をしない方がいいというのは本当ですか?
医師の説明やカウンセリングを受けた後も、以下の点が気になる人にとっては、ワキガ手術をしない方がよいという結論に至ることも十分にあり得ます。
ワキガ手術をしない方が良いと思われる5つの理由
- 傷跡が残る
ワキガ手術は切開を伴うため、どうしても傷跡が残ってしまいます。傷跡は1年ほどで目立たなくなりますが、どうしても跡を残したくない方もいるでしょう。そのような方にはワキガ手術はおすすめしません。 - 2週間ほどのダウンタイムがある
ワキガ手術の後は、2週間ほどのダウンタイムがあります。ダウンタイム中は安静に過ごす必要があり、腕の上げ下げができなかったり、脇に汗をかく運動や入浴を避ける必要があるので、仕事を含む日常生活に大きな制限が課されます。 - 保険が適用されない場合がある
ワキガ手術は、医師が手術が必要(極めて強いワキガ臭がある)と診断した場合、保険適用で手術を受けることができます。ただし、自分ではワキガが気になっている場合であっても、実際は手術の必要ない軽度・中度のワキガであり、保険適用外となる可能性もあります。 - 再手術の可能性がある
ワキガ手術では、ワキガ臭の原因であるアポクリン汗腺を取り除くことができますが、稀にアポクリン汗腺の取り残しが原因で十分な効果が得られず、再手術を希望される方もいらっしゃいます。 - 第二次性徴(思春期)前の子どもである
アポクリン汗腺は、身体に第二次性徴が現れるから発達するので、それよりも前に手術を受けても、後からアポクリン汗腺が発達してしまう可能性があります。身体の発育が終わる頃までは、手術以外のワキガ対策を行うことが望ましいと考えます。
ワキガ手術の値段はどれくらいですか?
剪除法・切除法ともに、保険適用なら約5万円、保険適用外なら30万円~です。
まとめ:ワキガ手術の検討は正しい知識を身につけてから
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事では、ワキガ手術の種類と、傷跡やダウンタイムといった手術に関してよく頂くご質問について解説しました。
ワキガに悩む方の中には、実は自分でニオイ対策ができて、手術の必要のない方もいます。そのような場合は、高額な手術費用や手術のための切開などは、無駄であると言えるかもしれません。
ワキガ手術は、非常に効果の高いワキガ対策ですが、実際に受ける前には「お金がかかる」「傷跡が残る」「ダウンタイムの生活制限がきつい」といった点にもしっかりと目を向け、正しい知識をもとに慎重に検討するようにしてください。
この記事が皆様のお役に立てば幸いです。
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