ワキガ体質でもないのに体臭が気になっている場合、もしかすると肝臓機能の低下が原因かもしれません。
実は肝臓も、汗や臭いに関係する重要な臓器。
普段から飲酒する習慣がある、毎日のように肉料理を食べている場合は、肝臓の分解機能に負荷をかけ、汗の性質を悪くし、体臭の悪化を招いている可能性があります。
そこで今回は、肝臓が悪くなるとどのようにして臭いが汗に漏れだし体臭となるかをご紹介します。
▼体臭に関して幅広く知りたい方は以下の記事もご覧ください。
肝臓と汗の臭いには深い関係がある
「肝心かなめ(肝腎要)」という言葉があるように、肝臓は人が健康に過ごすための重要な働きを担っています。
肝臓の働きの中で臭いにつながっているものとして、肝臓の解毒作用が挙げられます。
何らかの原因により肝臓の働きが悪くなると、体内に採り入れた有害な物質(アンモニアなど)の分解処理をする機能が追いつかなくなります。
処理しきれなかったぶんは血流に乗って全身を巡り、最終的に汗や吐く息などで体外へ排出されてしまうため、体臭が悪化したと感じやすいようです。
汗に漏れ出す臭いとその原因
物質の再吸収が正常に行われない
汗腺には、エクリン腺とアポクリン腺の2つがあります。
主に臭いを発生させる原因となっているアポクリン腺は、血液中から水分とともにさまざまな物質を汲み出し分泌していますが、体のバランスを整えるために必要な物質を再吸収させて血中に戻す働きもあります。
しかし、肝臓の機能が低下すると、再吸収のメカニズムがうまく働かなくなり、最終的には再吸収されなかった物質が体表面に汗やガスとして出てきて、臭いの原因やべたついた汗となります。
水分に近いエクリン腺からの汗と異なり、アポクリン腺からの汗は、こうした肝臓などで処理しきれなかった物質が漏れ出し、皮膚上の細菌により分解されて強い臭いを発生させ、体臭となるのです。
飲酒由来のアルコール臭に注意
では具体的にはどのような物質が漏れ出て体臭となるのでしょうか。
その代表的な原因物質がアルコールです。
過剰な飲酒による酒臭さは、肺を経由した呼気として体の外に排出されます。
しかし、肝臓の働きが低下すると、アルコールの有害物質であるアセトアルデヒドの分解がうまくいかず、血中にとどまることとなり、それがアポクリン腺から分泌されて臭って体臭となってしまいます。
肉や脂質の取り過ぎも負担をかける
肝臓は、脂肪の消化吸収に重要な役割を果たす胆汁酸のもととなる胆汁を生成しています。
そのため、脂質の多い肉を毎日のように食べていると、そのぶん胆汁を生成することに。
結果、肝臓に過重な負担がかかることで機能は低下し、分解できなかった臭い物質が血中に排出され汗に漏れ出して体臭となってしまいます。
疲労やストレスも体臭原因に
飲み過ぎのほか、疲労やストレス過多、睡眠不足などによっても肝臓の機能は低下します。
たとえば疲れると体内から疲労物質が生じ、それを体外に排出する役割を果たす肝臓に負担をかけてしまいます。
また、過剰なストレスは自律神経の乱れを招き、肝臓の働きをコントロールする副交感神経がうまく機能しなくなります。
そして、睡眠時間は臓器を休めて回復させる時間なので、睡眠が不足すると臓器の機能がうまく果たせなくなってしまいます。
肝臓はアミノ酸を分解する過程で産出された有害物質のアンモニアを、無毒・無臭化して尿素を作る役割も担っています。
しかし、こうした原因から肝臓の機能が低下すると血液中のアンモニアの処理が追いつかなくなり、アンモニアの濃度が高くなって、最終的には汗や皮膚ガスと一緒に体外に排出されてしまうのです。
糖質制限中はケトン臭にも注意
いまや中年の男女にとっても関心の高いキーワードとなった「糖質制限」。
近年話題となっている「炭水化物ダイエット」は、炭水化物=糖質制限を主体にした痩身法ですが、実はこれを行うと、「ケトン臭(別名・ダイエット臭)」という独特の甘酸っぱい臭いが発生することがわかっています。
ケトン由来の臭いは、主なエネルギー源である炭水化物が制限されたことによって、肝臓がそれまで蓄えた中性脂肪を新たなエネルギー源として合成する際に発生します。
ケトン体が多くなればなるほど、汗にケトン体が混ざるため酸っぱい臭いを不快に感じやすくなるでしょう。
まとめ
体臭に関連する臓器は肝臓だけでなく、腎臓も肝臓と連携を取りながら尿として排出する機能を担っています。
また、肝臓を大切にする生活は胃腸やその他の臓器にも好影響を与えますので、食生活や睡眠など身体に負荷をかけないよう注意しましょう。
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