「更年期になって体臭が気になる……」と感じている方は多いと思います。
更年期になると体に様々な変化が表れますが、体臭もその一つです。
更年期の体臭を抑えるために、どのような体臭が発生しているのかを知り、適切な対策に繋げましょう。
本記事は、理化学研究所敷地内の研究施設で体臭研究をしつつ、これまでに2,000人以上の体臭評価・アドバイスを行ってきた臭気判定士(においに関する唯一の国家資格)の石田翔太が「更年期の体臭の特徴と原因」を徹底解説していきます。
▼体臭に関して幅広く知りたい方は以下の記事もご覧ください。
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更年期の体臭とは
女性の多くは50歳前後で、卵巣の機能が消失し、月経が止まる「閉経」という状態が訪れます。
この「閉経」をはさんで、前5年、後ろ5年の計10年を「更年期」と呼びます。つまり、女性の多くは約45歳から約55歳までの期間で更年期を迎えるのです。
更年期になると体に様々な変化が表れますが、その一つに体臭の発生や変化があります。
本項では、更年期を迎える年齢に気になり出す体臭の原因を解説していきます。
女性ホルモンの減少が体臭を悪化させる
更年期にあたる約45歳から約55歳までの期間で、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が著しく低下することがあり、下記の現象を引き起こす可能性があります。
エストロゲンの分泌量低下によって引き起こされる現象
- 皮脂の分泌の増加
女性ホルモン(エストロゲン)には皮脂の分泌を抑える役割がありますが、その分泌量が少なくなることで、相対的に男性ホルモンが優位になります。それによって、体臭の原因である皮脂の分泌が促進され、ニオイが発生しやすくなるのです。 - 悪玉コレステロールの増加
女性ホルモンには悪玉コレステロールを抑制する役割があります。しかし、女性ホルモンが減少し、悪玉コレステロールが増加するので、中性脂肪である皮脂も増加します。それによって、体臭が発生しやすくなります。
参考URL:女性のコレステロール値が高くなる原因とは?LDL・HDLの違いや食生活のポイントについて – 健康情報コラム (suntory-kenko.com)
エストロゲンの分泌量の低下は、加齢臭やミドル脂臭といった体臭の原因である皮脂を発生させるのです。
▼加齢臭、ミドル脂臭については下記の項で詳しく説明しています。
加齢にともなう体臭の発生
更年期にさしかかる年代は、もともと加齢臭が発生しやすい年齢です。なぜならば、加齢に伴い、加齢臭の原因である皮脂の分泌量が増加するためです。
加齢臭は、皮脂の酸化によって発生する「ノネナール」と「ペラルゴン酸」という物質が原因で起こります。
特に更年期(40代~50代以降)では、「ノネナール」が発生しやすく、青臭さや芝生のような青っぽいニオイを感じやすいです。
ラクトンの減少
若い女性は「ラクトンC10/ラクトンC11」という物質が分泌されるので、SWEET臭という若い女性特有の甘い匂いが発生します。
しかし、35歳を過ぎるとそれらの物質の分泌量が減り、今まで気にならなかった体臭を感じやすくなります。
それによって、更年期に体臭が気になる可能性もあります。
更年期の匂いの種類
更年期に強まると考えられる匂いは、下記のような匂いです。
更年期に感じる匂いの種類
- 加齢臭
加齢臭は、皮脂の酸化によって発生する「ノネナール」と「ペラルゴン酸」という物質が原因です。更年期にあたる頃は、加齢に伴う体質の変化や、女性ホルモンの減少が原因で、皮脂の分泌量が増加します。そのため、加齢臭が発生しやすいです。更年期(40代~50代以降)は、「ノネナール」が発生しやすく、青臭さや芝生のような青っぽいニオイがします。 - 汗臭
更年期になると、自律神経の乱れによって「ホットフラッシュ」という、のぼせ・ほてり・発汗の症状が見られます。汗の99%は水分なので、汗自体が悪臭を放つことはありません。しかし、汗によって活発になった皮膚常在菌が、皮膚上の皮脂や汚れを分解することで、酸っぱい不快なニオイが発生します。また汗が衣服で湿ると、雑菌が活発化し、不快なニオイを発することがあるため、ホットフラッシュによって発生した汗で、不快な汗臭を感じることがあるでしょう。 - ミドル脂臭
ミドル脂臭は、「ジアセチル」という物質自体や、それと「中鎖脂肪酸」が混ざることで発生するニオイのことです。「ジアセチル」は、エクリン腺から分泌された汗に含まれる疲労物質の乳酸が、分解・代謝することで発生します。また「中鎖脂肪酸」は皮脂に含まれています。つまり、ミドル脂臭は「ジアセチル」と皮脂によって発生します。ミドル脂臭は30代・40代の男性に多く感じられるニオイですが、更年期の女性にも発生するニオイです。 - 疲労臭/ストレス臭
更年期は、肉体の変化による疲労や、精神的ストレスを感じることが多いです。疲労やストレスがたまると、肝機能や腎機能の働きが低下し、本来は尿素に分解されるはずのアンモニアが分解されず、血液中を循環することになります。それによって、血中のアンモニアが汗や皮脂と混ざって体外に排出され、疲労臭・ストレス臭が発生します。疲労やストレスを感じやすい更年期は、疲労臭・ストレス臭が発生しやすくなるかもしれません。
これらのニオイは、更年期に表れる体の変化が要因となって発生します。
更年期にあたる年齢の方で、ご自身の体臭が気になる方は、これらのニオイを疑ってみると良いでしょう。
更年期の臭いに関するよく頂くご質問
以上で、更年期に気になりやすい体臭に関する説明の大部分が終わりました。
しかし、更年期の体臭に関して、まだまだ知りたい方もいると思います。そこで本項では、更年期の体臭についてお寄せ頂いた疑問に答えていきたいと思います。
更年期に汗の臭いがするのはなぜ?
更年期に汗のニオイがするのは、更年期の症状である「ホットフラッシュ」が原因です。
この症状は、発汗が特徴で、その汗が原因となって臭いがします。
汗の99%は水分なので、汗自体が悪臭を放つことはありませんが、汗による皮膚常在菌の活性化や、衣服の雑菌によって酸っぱい汗臭が発生します。
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更年期の体臭を対策するには?
更年期には、様々な体臭が発生する可能性があります。
体臭の効果的な対策は、ニオイの種類によって異なります。ですから、更年期の体臭を対策する際は、まずご自身の体臭の種類を把握することが重要です。
ご自身の体臭の種類を知り、効果的な対策をとりましょう。
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まとめ:更年期の体臭を気にしない生活を送るために
最後までお読み頂きありがとうございます。
本記事では、更年期の体臭の特徴と原因について解説してきました。
更年期には、様々な体臭が発生すると考えられるので、適切な対策を見つけることが難しいかもしれません。しかし、冷静にご自身の体臭の種類を見きわめ、適切な対策を講じれば更年期の体臭を抑えることができます。
本記事が皆様のご不安解消のお役に立てば幸いです。
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