中年期は特にニオイが気になる時期です。
加齢臭だけでなく口臭も悪化してきたように感じ、二つのニオイに関係があるのではないかと、疑問に思われている方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事は、理化学研究所敷地内の研究施設で体臭研究をしつつ、これまでに2,000人以上の体臭評価・アドバイスを行ってきた臭気判定士(においに関する唯一の国家資格)の石田翔太が「口臭と加齢臭の関係」について徹底解説していきます。
▼加齢臭に関して詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
「自分の加齢臭が気になって、知人と会う時に不安を感じる」 「そもそも、加齢臭って何?」 「加齢臭の原因は生活習慣のせいなの?」 加齢臭を気にしすぎるあまり日常生活が不安ばかりになっている方がいると思います。 しかし、原因を理解せず、闇雲に対[…]
加齢臭と口臭は関係ある?
加齢臭は、皮脂の酸化により臭いの原因である「ペラルゴン酸」と「ノミナール」が発生することで、起こります。
加齢に伴って皮脂は分泌量や質が変化するのですが、それによって「ノミナール」と「ペラルゴン酸」の発生量が多くなるので、主に中高年になって加齢臭が意識されるようになるのです。
一方で、口臭も加齢に伴って強くなりますが、口内環境の悪化などが原因で、加齢臭とは別な理由で強くなっていきます。
つまり、加齢臭と口臭は全く関係がないのです。
ただし、口臭が強くなる時期と加齢臭が発生する時期は重なることが多いので、関連付けて考えられがちです。
加齢臭と口臭の対策をする際は、それぞれにあった対策を講じましょう。
加齢によって口臭がひどくなる原因は?
口臭改善の対策を講じる前に、加齢によって口臭がひどくなる原因を知ることで、より有効な対策を行うことができます。
口臭の原因は口腔内の細菌と言われています。
では、加齢によって口臭がひどくなるのはどうしてでしょうか。下記では、考えられるその原因を紹介していきます。
原因①唾液腺機能の低下
1つ目の原因は、加齢に伴う唾液腺機能の低下です。
唾液には口内の汚れを流し清潔に保つ役割があります。しかし、年齢に伴う唾液腺機能の低下によって唾液の分泌量は少なくなります。
唾液量が少なくなることで、口内の細菌を洗い落とすことができなくなり、口臭がひどくなるのです。
▼下記を参考にして記事を書きました。
本センター研究所 老化機構研究部の山越室長らは、口腔内に唾液を分泌する唾液腺の一つである顎下腺の組織機能が加齢により低下する仕組みの一端を解明しました。
加齢に伴う口腔乾燥症状(ドライマウス)は、唾液分泌機能を有する唾液腺の老化によって唾液分泌量が減少することが一つの原因と考えられています。
引用元:老化機構研究部は、加齢により顎下腺機能が低下する仕組みの一端を解明し、その研究成果がAging Cellに掲載されることになりました | 国立長寿医療研究センター (ncgg.go.jp)
原因②病的問題
2つ目の原因は、病気によって引き起こされる口臭の悪化です。
病気と言っても、口腔内の疾患と体全体の疾患に分けることができます。
口腔内の疾患の主な例として下記の症例が挙げられます。
口腔内疾患の例
- 歯周病
- 虫歯
- ドライマウス
一方で、口臭を悪化させる体全身の疾患例としては、下記の症例が挙げられます。
全身の疾患の例
- 鼻や喉の病気
- 呼吸器の疾患
- 消化器官の疾患
- 糖尿病
口腔内の病気だけでなく、一見関係なさそうな体の部位にも口臭がひどくなる原因があるのです。
対策を講じる前に、口臭の原因を見つけることが重要です。
しばらく健康診断へ行っていない方はこれを機に健康診断を受けましょう。
▼下記を参考に記事を書きました。
口臭の大部分は口の中に原因があり、その多くは舌苔(ぜったい)と歯周病です。全身疾患の兆候として現れる呼気経由の口臭もありますが、極めて限定的と考えて良いと思われます。口臭は自己識別が難しいこともあって、気にする人が多い一方で強いにおいを無自覚な人も多いという社会的な健康問題となっています。
原因③人工物の手入れ不足
3つ目の原因は、入れ歯やインプラントなどの人工物からの臭いです。
年齢を重ねるごとに、虫歯などの口内疾患は増えます。
その治療として補修されたインプラントや銀歯、入れ歯などを清潔に保っていないと、細菌が繁殖し、口臭の悪化の原因となってしまうのです。
男性と女性におすすめする加齢臭と口臭の対策方法
先にも述べたように、加齢臭と口臭には関係はありません。
ですから、加齢臭と口臭を対策する際は、それぞれにあった対策を講じる必要があります。
下記では、加齢臭と口臭のそれぞれに有効な対策を紹介します。
加齢臭の対策方法
先に、加齢臭の対策について紹介していきます。
一般に、加齢臭は中高年男性に特有な体臭と考えられがちですが、女性から発生することもあります。
なぜならば、加齢臭は人の皮脂の酸化によって引き起こされるものであり、これは男女に共通することだからです。
加齢臭に有効な具体的対策を5種類紹介します。
加齢臭に有効な対策方法
- ボディーソープを使って余分な皮脂を洗い落とす
- シャンプーを使って余分な皮脂を洗い落とす
- デオドラント用品を使う
- 洗濯で衣服についた皮脂を洗い落とす
- ボディクリームを使って肌の乾燥を防ぐ
これらの方法で、加齢臭を対策してみてください。
口臭の対策方法
次に口臭を抑える方法を紹介していきます。
こちらも男女に共通する方法ですので、ぜひご覧ください。
対策方法①口内環境を整える
1つ目の対策方法は、口内環境を整えることです。
口内環境を整えるには下記の方法を行ってみると良いでしょう。
口内環境を整える方法
- 定期的に歯科検診に通う
- 歯や舌を磨く
- 歯間ブラシやデンタルフロスを使う
定期的に歯科検診に通うことで、虫歯や歯周病の早期発見や治療を行うことができ、口内疾患の悪化を防ぐことができます。
また、自分で口内環境を整える方法として歯や舌を磨くことが挙げられます。加えて歯間ブラシやデンタルフロスを活用することで、細かな箇所まで汚れを落とすことができ、口内の細菌の繁殖を抑えられます。
対策方法②体内環境を整える
2つ目の対策方法は、体内環境を整えることです。
睡眠や食生活を見直すことで、体の健康を保つことができますが、場合によっては糖尿病などの命の危険に関わる病気の可能性があるため、定期的な健康診断を活用したりして、体の管理をしましょう。
対策方法③唾液の分泌量を増やす
3つ目の対策方法は、唾液の分泌量を増やすことです。
その具体的方法は下記の通りです。
唾液の分泌量を増やす方
- 唾液腺マッサージ 唾液腺のある、耳下線(耳たぶの下)、顎下線(下顎の付け根あたり)、舌下線(下顎の舌あたり)を指で軽く押して刺激してみましょう。
- よく噛んで食べる 1日3回の食事時は口を動かすチャンスです。ぜひよく噛んで食べることを意識して、口臭予防に役立てましょう。
- 人工唾液や唾液分泌を促進する薬品を使う*1
唾液量を増やすことで、口内の自浄能力を高め、口腔の細菌の繁殖を防ぎましょう。
*¹薬は副作用などが考えられますので、ご自身の体にあった薬をお選びください。万が一、薬が原因で体に異変を感じた場合は、すぐに薬を飲むのを止め、病院へ行きましょう。
▼下記を参考に記事を書きました。
口腔乾燥へ の対応
― 人 口唾液お よび唾液分泌促進剤 一覧 ― 山根 源之引用元:ja (jst.go.jp)
加齢臭と口臭に関する疑問
ここまで読んでくださりありがとうございます。
加齢臭と口臭を同じものと考えてしまう方が多くいるように、加齢臭と口臭について誤解されていることは他にもあるでしょう。
そこで、下記では加齢臭と口臭に関して誤解されがちな知識を、寄せられた疑問に答えることで、解決していきたいと思います。
男性と女性に口臭の差はある?
加齢臭と同様に、男性の口臭の方がひどいと考えられている方もいるかもしれませんが、実際はそのようなことはありません。
『口臭白書2019』によれば、中高年男性よりも若年女性の方が、口臭の測定基準値が高かったという結果がでました。
女性は、女性ホルモンが原因で唾液の分泌量が少なくなったり、口内の細菌が増えたりするのです。
▼下記を参考に記事を書きました。
基準値をオーバーした人の割合は、男性に比べて女性の方が2倍以上。「中高年男性より若年女性の方が、基準値超え比率が高い」という意外な?結果も判明しました。ホルモンバランスの変化や、妊娠・出産・子育てなどのライフイベントは、ケア意識の高い人であっても、知らず知らずのうちに口臭リスクを高めているのかもしれません。
加齢臭と口臭に有効なサプリはある?
加齢臭と口臭ともに有効なサプリはありません。
なぜなら、加齢臭と口臭の発生原因は別であるからです。
それぞれにあった対策を講じることで、加齢臭と口臭を抑えることができるでしょう。
まとめ:加齢臭と口臭は無関係
最後まで読んでいただきありがとうございます。
加齢臭と口臭は、気になり始める時期が重なるため関連付けてしまいがちですが、両者に関係はありません。
加齢臭と口臭のどちらにも言えることですが、その原因を突き止めることで臭いを抑制することができます。
ご自身にあった方法で、対策を講じてみてください。
▼加齢臭に関して詳しく知りたい方は以下の記事もご覧ください。
「自分の加齢臭が気になって、知人と会う時に不安を感じる」 「そもそも、加齢臭って何?」 「加齢臭の原因は生活習慣のせいなの?」 加齢臭を気にしすぎるあまり日常生活が不安ばかりになっている方がいると思います。 しかし、原因を理解せず、闇雲に対[…]