どのような食べ物が体臭を改善・悪化させるのか知りたい方に向けて本記事を書きました。
6つの体臭(汗臭、加齢臭、ミドル脂臭、ワキガ臭、腸内環境の悪化によるニオイ、疲労臭)のメカニズムの説明後、6つの体臭ごとに効果のある食べ物と悪化する食べ物を紹介します。
6つの体臭に分けて解説しますので、ご自身が気にしている体臭に注目して読み進めてみてください。
体臭別のメカニズムと改善・悪化させる食べ物
始めに、体臭ごとにメカニズムと効果のある食べ物をご紹介します。下記の青い文字を押すと選択した項目に飛ぶことができます。
- 【汗臭】脂質やアルコールを控えよう
- 【ワキガ臭】脂質やたんぱく質を控えよう
- 【加齢臭】抗酸化食品を食べよう
- 【ミドル脂臭】アルカリ性食品をを食べよう
- 【腸内環境の悪化によるニオイ】善玉菌を増やす
- 【疲労臭(アンモニア臭)】たんぱく質を控えよう
【汗臭】脂質やアルコールを控えよう
汗臭の仕組み
汗臭は、汗を放置することで発生するニオイです。
汗を分泌する汗腺には、体全体にあるエクリン腺と、脇やへそ等の特定の場所にあるアポクリン腺があり、汗臭の原因は前者のエクリン腺です。エクリン腺から分泌される汗は99%水分であり、分泌直後は無臭です。しかし、その汗により皮膚上の常在菌が活発になり、皮膚上の皮脂などの汚れを常在菌が分解することによって汗臭が発生します。
この記事は、最近ご自身の体から酸っぱい臭いがすると感じており、周囲に相談できずに悩まれている方に向けて書きました。
年齢を重ね、ふと気づくと若いころには気づかなかったご自身の体臭の変化にとまどわれていることと思います。
記事内では、汗か[…]
汗臭を悪化させる食べ物
汗の分泌を促すアルコール飲料や刺激の強い食べ物、皮脂の分泌を促す動物性脂質や糖質の過剰摂取によって、汗臭が悪化する可能性があります。
多くの汗をかくほど、発生原因である皮膚上の常在菌が活発となり、汗臭を悪化させます。また、汗臭は皮膚上の常在菌が皮脂などを分解することで発生しますので、皮脂の分泌が多いと汗臭が悪化することがあります。
▼下記の青い文字▼を押すと具体的な食べ物を知ることができます。
【ワキガ臭】脂質やたんぱく質を控えよう
ワキガ臭の仕組み
汗腺の1つであるアポクリン腺から分泌される汗が発端で、ワキガ臭は発生します。分泌される汗には、脂質やたんぱく質が含まれており、それらの物質を皮膚上の常在菌が分解する過程でワキガ臭が発生しています。誰もがワキガ臭の原因であるアポクリン腺を持っているため、誰もがワキガ臭は持っていますが、ワキガ臭の程度は個々で異なります。ただし、ワキガ対策が必要かどうかはワキガ臭の程度によって決まりますので、ご自身のワキガの程度について知りたい方は下記の記事を読んでみてください。
軽度・中度・重度ワキガとはどのくらいの臭いなのか、どのような対策を講じるべきかを知りたい方に向けて 、本記事を書きました。
厚生労働省のワキガに関する資料を参考にしながら軽度から重度ワキガを定義し、ワキガの程度を確認する3つ方法、ワキガの[…]
ワキガ臭を悪化させる食べ物
脂質やたんぱく質の過剰摂取によってワキガ臭が悪化する可能性があります。
脂質やたんぱく質を過剰に摂取すると、アポクリン腺から分泌される脂質やたんぱく質の量が増え、ワキガ臭の悪化を招く可能性があります。脂質やたんぱく質を取りすぎないよう、バランス良い食事を心掛けましょう。
▼下記の青い文字▼を押すと具体的な食べ物を知ることができます。
【加齢臭】抗酸化食品が効果的!
加齢臭の仕組み
加齢臭は、肌の潤いを保つ皮脂が酸化することで発生するニオイです。皮脂に含まれる脂肪酸の「パルミトレイン酸」と、脂質が酸化してできる「過酸化脂質」が合わさることで「ノネナール」という加齢臭の元となる物質ができます。加齢に伴って皮脂の分泌量が増加するため、ノネナールの生成量も次第に増えていきます。主に40歳を過ぎてから加齢臭が強くなるとされています。
加齢臭の原因がわからず、困っていませんか?
年齢を重ねるとともに、だんだんと自分の体臭が若い頃とは変わってきていると感じる人も少なくありません。
この記事では、加齢臭の原因だと考えられている2種類の物質、加齢臭が悪化する原因、対策方法を[…]
加齢臭を改善・悪化させる食べ物
抗酸化物質*¹によって加齢臭が改善し、動物性脂質や糖質の過剰摂取によって加齢臭が悪化する可能性があります。
抗酸化物質*¹を含む食品を摂取することで、皮脂の酸化を抑えられ、加齢臭の原因であるノネナールの生成を抑えることができます。また、動物性脂質や糖質の過剰摂取は皮脂の分泌を促し、加齢臭の元となるノネナールの生成量を増やす可能性があります。
*¹抗酸化物質とは、活性酸素を取り除き、酸化の働きを抑える物質のことです。活性酸素は微量であれば人体に有用な働きをしますが、大量に生成されると過酸化脂質を作り出し、動脈硬化・がん・老化・免疫機能の低下などを引き起こします。
▼下記の青い文字▼を押すと具体的な食べ物を知ることができます。
【ミドル脂臭】アルカリ性食品を食べよう
ミドル脂臭の仕組み
ミドル脂臭は、乳酸が分解される際に生成される「ジアセチル」と、皮脂に含まれる「中鎖脂肪酸」が合わさり発生するニオイです。「ジアセチル」は、エクリン腺*²から分泌される「乳酸」をブドウ球菌が分解することで発生します。特に、「ジアセチル」は20代から増加し、30歳後半から40歳にピークを迎えます。ミドル脂臭は後頭部や頭頂部などを中心に発生します。
*²エクリン腺…汗を分泌する汗腺の一種。体全体にあり、体から分泌される汗のほとんどはこの汗腺から分泌される。主に体温調節機能を担っている。ミドル脂臭以外にも、汗臭の原因になることがある。
近年の研究で加齢臭とは違う成分が中年男性の臭いの原因になっていることが明らかになりました。
それが「ミドル脂臭」です。
原因となっているのは「ジアセチル」という成分です。
そこで、どのようにすればジアセチルの発生を抑えられるのか、どう[…]
ミドル脂臭を改善・悪化させる食べ物
ミドル脂臭がアルカリ性食品によって改善し、動物性脂質や糖質の過剰摂取によって悪化する可能性があります。
アルカリ性食品には、乳酸を分解し、ジアセチルの生成を抑える効果があります。また、動物性脂質や糖質を控えることで中鎖脂肪酸を含む皮脂の分泌を抑えることができます。
▼下記の青い文字▼を押すと具体的な食べ物を知ることができます。
【腸内環境の悪化によるニオイ】善玉菌を増やす
腸内環境の悪化によるニオイの仕組み
腸内環境の悪化によって悪玉菌が増加し、食べ物を消化する過程で腐敗臭などの有害な物質ができます。代表的な有害物質はアンモニアや硫化水素などです。これらは、強い臭いを放ち、汗とともに排出されニオイとして発生します。腸内環境の悪化は、食生活の乱れや生活習慣の乱れ、ストレスなどにより、腸内にいる善玉菌と日和見菌(ひよりみきん)、悪玉菌の3つバランスが崩れた際に起こります。
腸内環境の悪化によるニオイを改善・悪化させる食べ物
腸内環境の悪化によるニオイは、善玉菌の増加によって改善し、悪玉菌の増加によって悪化する可能性があります。
善玉菌を増やすためには、ヨーグルトなどの生きた菌を含む「プロバイオティクス」と、オリゴ糖などの善玉菌の餌となる「プレバイオティクス」を意識的に摂取しましょう。また、悪玉菌を増加させないために、悪玉菌の餌となる動物性脂質の過剰摂取を避ける必要があります。
▼下記の青い文字▼を押すと具体的な食べ物を知ることができます。
【疲労臭(アンモニア臭)】たんぱく質を控えよう
疲労臭の仕組み
疲労臭は、疲労やストレスなどが原因でアンモニアが肝臓で分解されず、汗とともにアンモニアが体外に排出されることで発生するニオイです。
体内でたんぱく質を分解する際に、アンモニアが生成され、通常であれば肝臓のオルニチン回路がアンモニアを分解し無害な尿素に変えます。しかし、疲労やストレスなどが原因で肝機能が低下するとオルニチン回路が適切に働かず、アンモニアが血液に蓄積されます。蓄積されたアンモニアは、汗とともに体外へ排出され、アンモニア臭となると考えられています。
今まであまり気にならなかった体臭が、最近強くなってきた気がすると感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
その体臭、もしかしたらストレスが原因かもしれません。
日々の仕事からくるストレスは、体の機能にさまざまな影響を与えます。
体[…]
疲労臭を改善・悪化させる食べ物
疲労臭は、アルカリ性食品によって改善し、たんぱく質とアルコールの過剰摂取によって悪化する可能性があります。
体内が酸性に傾いてしまうとアンモニアが過剰に生成され、疲労臭の悪化を招くことがあるため、アルカリ性食品を摂取し、体内が酸性に偏らないようにしましょう。また、たんぱく質やアルコールの過剰摂取は、肝臓への負担を増加させ、アンモニアを多く生成する原因になります。
▼下記の青い文字▼を押すと具体的な食べ物を知ることができます。
【まとめ】体臭と食べ物との関係一覧
体臭が改善する食べ物 | 主な効果 | 具体的な食べ物 | どのニオイに効果的か? |
抗酸化食品 | 活性酸素を抑えて酸化を防ぐ |
・ビタミンA,C,E |
・加齢臭 |
アルカリ性食品 | 体内をアルカリ性に保つ | ・クエン酸が含まれる食べ物 レモン、梅など |
・ミドル脂臭 ・疲労臭 |
腸内環境を整える食べ物 | 善玉菌を増やす | ・プロバイオティクス 納豆、チーズ、漬物、味噌、醤油など ・プレバイオティクス リンゴ、バナナ、海藻類、ゴボウなど |
・腸内環境の悪化によるニオイ |
体臭を悪化させる食べ物 | 過剰摂取による悪い効果 | 具体的な食べ物 |
どのニオイに影響を与えるか? |
動物性たんぱく質 | ・分解の過程でアンモニアが発生 ・汗に含まれるたんぱく質の増加 ・悪玉菌の増加 |
肉類、魚介類、卵、乳製品 |
・ワキガ臭 |
糖質 |
・皮脂分泌量の増加 |
ご飯、麺類、パン、イモ、砂糖、ハチミツ | ・汗臭 ・加齢臭 ・ミドル脂臭 |
動物性脂質 |
・皮脂分泌量の増加 |
肉類、ラード、牛乳、ケーキ、チョコレート、アイスクリーム、バター等 |
・汗臭 |
アルコール |
・発汗作用 |
お酒 | ・汗臭 ・疲労臭 アルコールのニオイ |
刺激の強い食べ物 |
・発汗の促進 |
辛い食べ物 | ・汗臭 |
コーヒー | ・皮脂分泌量の増加 ・肝機能の低下 |
コーヒー |
・汗臭 |
にんにく | ・アリシンが血液を流れ、汗とともにニオイが発生 | にんにく | にんにくのニオイ |
ご自身の体臭を確認したい方は専門家が体臭評価を行うオドレートを確認してみてください。家でこっそり専門家の体臭評価を受けることができます。
体臭改善に効果のある3つの食べ物
体臭を改善する食べ物は大きく分けて3種類ありますが、どの体臭にも効果があるわけではありません。ここでは、体臭を改善する3つの食べ物とその食べ物がどの体臭に効果があるのかを説明します。
①抗酸化食品の効果と具体的な食べ物
抗酸化食品の主な効果
抗酸化食品には、活性酸素の働きを抑制し、酸化を抑える効果があります。活性酸素は酸化を促す物質で、少量であれば免疫機能として働くため人体に良いものです。しかし、活性酸素が大量に人体に存在すると、活性酸素が細胞を攻撃するなど、人体に有害に働きます。活性酸素による体の攻撃を防ぐために、抗酸化物質を含んだ抗酸化食品を食べることは効果的です。
参考文献:e-ヘルスネット 厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト 抗酸化物質
抗酸化食品は加齢臭に有効!
抗酸化食品は、皮脂の酸化を防ぐ効果があり、加齢臭の発生を防ぐことができます。加齢臭の元であるノネナールは、皮脂が酸化することで生成されるものですが、抗酸化食品を食べれば、皮脂の酸化を防ぎノネナールの生成を抑えることができます。ただし、抗酸化食品によって改善する体臭は加齢臭だけであり、加齢臭以外の体臭には効果はないと考えられます。※効果には個人差があります。
様々な抗酸化食品と具体的な食べ物
- ビタミンA
- ビタミンCとビタミンE
- ポリフェノール
- ミネラル類(セレン・銅)
- カロテノイド
①ビタミンA
ビタミンAには β-カロテン(カロテノイドの一種)として多く含まれますが、このβ-カロテンには活性酸素の発生を抑え、取り除く働きがあります
引用元:e-ヘルスネッ。ビタミンAはレバー類や色の濃い野菜に含まれています。ビタミンAは脂溶性ビタミンと呼ばれ、油で炒めるなど、油と共に摂取することで吸収率が上がります。下記はビタミンAが含まれている食材です。
ビタミンA | レバー類・バター・卵黄・にんじん・ウナギ・ほうれん草・ブロッコリー・トマト・モロヘイヤ・ピーマン |
②ビタミンCとビタミンE
ビタミンEには酸化を促す活性酸素の働きを弱める働きがあり、他方でビタミンCにはビタミンEを再び活性化させる働きがあります。そのため、ビタミンCとビタミンEを同時に摂取することで相乗効果が生まれ、抗酸化作用がより向上します。ビタミンCは熱に弱いため多めに食べるようにしましょう。下記はビタミンCとビタミンEが含まれる食べ物です。
ビタミンC | 柿・キウイ・ブロッコリー・ピーマン・カリフラワー・青菜類・イチゴ・ゆず・レモンなど |
ビタミンE | ひまわり油・オリーブオイル・サフラワー油・コーン油・アーモンド・もも・すもも・さくらんぼ・アーモンド・ドライトマト・ツナ缶・卵黄など |
③ポリフェノール
ポリフェノールは、植物が活性酸素から身を守るために生成している植物由来の抗酸化物質です。ポリフェノールは抗酸化作用が強く、水に溶けやすいため、短時間で作用します。また、ポリフェノールは様々な種類があり、代表的なものには、緑茶などに多く含まれているカテキンやブルーベリーなどに含まれているアントシアニンがあります。
ポリフェノール | りんご・なし・ブルーベリー・ぶどう(ワイン)・チョコレート・緑茶・紅茶・玄米・生姜・大豆など |
④ミネラル類(セレン・銅)
ミネラル類とは五大栄養素の1つで、体の組織を作り、体の働きの維持や調整をする役割があります。ミネラル類の中で、セレンや銅には抗酸化作用があります。下記はセレン・銅が含まれる食品です。
ミネラル類 (セレン) | マグロ・たらこ・かつお・全粒穀物 |
ミネラル類 (銅) | 牡蠣・イカ・タコ・レバー・納豆・ほたるイカ |
⑤カロテノイド
カロテノイドは動植物に存在する抗酸化物質で、赤や黄色の色素を持っています。下記はカロテノイドが多く含まれている食べ物です。
カロテノイド | 赤パプリカ・マンゴー・柿・柑橘類・すいか・とうもろこし・赤唐辛子・わかめ・えび・かに・いくら・トマト・緑黄色野菜など |
体臭が気になり始めたら、普段どんなものを食べているか振り返ってみませんか?
食べたものは体臭に影響を及ぼすので、気になる体臭を発生させているのは何気なくいつも食べている食品の可能性もあります。
体臭を改善するためには、野菜中心の生活にし[…]
②アルカリ性食品の効果と具体的な食べ物
アルカリ性食品の効果
アルカリ性食品には、体内を弱アルカリ性に保ち、血行を良くする効果があります。人間の体内が弱アルカリ性のときに健康な状態だと言われています。しかし、たんぱく質(肉類)や炭水化物を多く摂取することで体内が酸性に傾き、血液がどろどろになります。現代では、たんぱく質や炭水化物を多く摂取するようになり、体内が酸性に傾く傾向があると言われています。
また、アルカリ性食品には、クエン酸が含まれているものがあり、疲労回復や筋肉痛の防止、乳酸の分解などの効果もあります。他にも、クエン酸には、ミネラルやビタミンの吸収を助ける効果もあります。
ミドル脂臭と疲労臭に有効
・ミドル脂臭
アルカリ性食品には、乳酸を分解するクエン酸を含んだ食べ物があります。ミドル脂臭の原因物質の1つであるジアセチルは、ブドウ球菌が乳酸を分解することで生成されます。アルカリ性食品を食べることによって、ブドウ球菌が乳酸を分解する前に、アミノ酸が乳酸を分解し、ジアセチルの生成を抑えることができると考えられます。
・疲労臭
疲労臭は分解しきれなかったアンモニアが汗とともに排出されることで発生します。「体内が酸性に傾くことで、汗のなかのアンモニアの量が増える」*⁴と言われています。アンモニアが増加することで、肝臓では分解しきれず、アンモニア臭が発生しやすくなります。そのため、アルカリ性食品を食べて、体内を弱アルカリ性に保つことが大切です。
引用:*⁴五味常明『なぜ一流の男は匂いまでマネジメントするのか?』(2015、かんき出版)p.155。
アルカリ性食品の具体的な食べ物
下記にアルカリ性食品の食べ物とクエン酸を多く含んでいる食べ物を紹介します。
アルカリ性食品 |
クエン酸:梅干し・レモン・みかん・ゆず・パイナップル・お酢など |
体臭の強さが気になっている人には、デオドラント用品もいいですが、クエン酸を使った対策方法もおすすめです。
今回は、クエン酸がどんな種類の体臭に効果を見せるのか、また、クエン酸を実際にどのように摂取したり、使ったりすれば良いのか、おすすめの[…]
③腸内環境を整える食べ物の効果と具体的な食べ物
腸内環境について
1000種類ほどの多種多様な菌が存在している腸は、食べ物の消化や吸収の役割があり、生きていく上で必要不可欠な臓器です。そのため、腸内環境を整えることは、食べ物で体臭を改善する上でとても重要です。
そんな腸には大きく分けてると3種類の菌、日和見菌・善玉菌・悪玉菌が存在します。日和見菌は、バランスに応じて善玉菌の味方をしたり、悪玉菌の味方をしたりと、優勢な菌と同じ働きをします。そのため、腸内環境を整える善玉菌を増やすが大切です。しかし、高たんぱく・高脂質の中心の食生活・不規則な生活・ストレスなどが原因で悪玉菌が増加し、腸内環境の悪化を招くことがあります。
腸内環境を確認するためには?
腸内環境の状態を確認したい場合は、便を観察してみてください。下記の清水純「腸内細菌と健康」を参考にしながら、便の色・形・ニオイをご確認ください。
善玉菌がたくさん酸を作っていると、色は黄色から黄色がかった褐色で、においがあっても臭くなく、形状は柔らかいバナナ状が理想です。逆に黒っぽい色で悪臭がある便は、腸内細菌のバランスが悪くなっている状態です。
腸内環境を整える食べ物
善玉菌を増やすには、生きた菌が含まれる「プロバイオティクス」と、善玉菌の餌となる「プレバイオティクス」を食べることがおすすめです。善玉菌を含むプロバイオティクと、善玉菌の餌となるプレバイオティクスを同時に食べることで効率よく腸内の善玉菌を増やせると言われています。
・プロバイオティクスとは?
プロバイオティクスとは、生きた菌が含まれる食品のことを指し、腸内環境に良い影響をもたらします。例えば乳酸菌やビフィズス菌などがあります。だたし、これらの菌は一定時間は腸内に存在するものの、長期間は存在することができないため毎日コツコツ食べましょう。
プロバイオティクス |
納豆・チーズ・漬物・ヨーグルト・味噌・醤油・キムチ |
・プレバイオティクスとは?
プレバイオティクスとは、善玉菌の餌となり、善玉菌の増加を助ける食品のことを指します。代表的なプレバイオティクスとして、オリゴ糖や食物繊維が挙げられます。食物繊維には、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類あり、水溶性食物繊維は善玉菌の増加を助け、不溶性食物繊維は排便を促す効果があります。
プレバイオティクス |
大麦・玉ねぎ・大根・ゴボウ・イモ類・リンゴ・バナナ・海藻類など |
頭皮や体から発せられる臭いが気になる方は、体臭改善に良いとされる食べ物を摂取して、体の内側からケアをしていきましょう。
今回おすすめするのはヨーグルト。
ヨーグルトには「乳酸菌」と「ビフィズス菌」という人にとって有用な菌が含まれていま[…]
過剰に摂取することでニオイが悪化する食べ物
ここではニオイを悪化させる食べ物を紹介します。注意すべき点は、ニオイが悪化する原因はこれから取り上げる食べ物を過剰に摂取するからであり、食べ過ぎなければ悪化に繋がる可能性が低いということです。
動物性たんぱく質
動物性タンパク質で悪化するニオイとその理由
動物性たんぱく質は、筋肉や血液を作り、エネルギーの源になりますが、食べ過ぎることで体臭が悪化することがあります。動物性たんぱく質によって悪化するニオイは、ワキガ臭、腸内環境の悪化によるニオイ、疲労臭の3つです。
・ワキガ臭
動物性たんぱく質を多く摂取することで、アポクリン腺から分泌されるたんぱく質の量が増える可能性があります。ワキガ臭は、アポクリン腺からの分泌物であるたんぱく質などを皮膚上の常在菌が分解することで発生します。したがって、たんぱく質の分泌量が増加することでワキガ臭が強くなると考えられます。
・腸内環境の悪化
動物性たんぱく質は悪玉菌の餌となり、悪玉菌の増加につながります。動物性たんぱく質を食べ過ぎることは腸内環境の悪化を招き、結果的にニオイの悪化にも繋がります。そのため、動物性たんぱく質を食べ過ぎないようにし、善玉菌を増やす食事を心がけましょう。
・疲労臭
疲労臭は、アンモニア臭のニオイですが、アンモニアはたんぱく質を分解することで生成されます。そのため、たんぱく質を過剰に摂取することでアンモニアを多く生産してしまい、疲労臭の悪化に繋がる可能性があります。
植物性たんぱく質を食べよう
動物性たんぱく質を摂取すると、たんぱく質と同時に脂質も多く摂取してしまいます。そのため、たんぱく質を必要な分のみ摂取するために、動物性たんぱく質の代わりに植物性たんぱく質を食べることがおすすめです。しかし、動物性たんぱく質は、植物性たんぱく質よりも必須アミノ酸を多く含んでおり、吸収しやすいです。そのため、動物性たんぱく質と植物性たんぱく質をバランスよく摂取すると良いでしょう。
具体的な食べ物
下記に動物性たんぱく質と植物性たんぱく質を多く含む具体的な食べ物を紹介します。
動物性たんぱく質 | 肉類・魚類・卵・乳製品(チーズなど) |
植物性たんぱく質 | 米・小麦・大豆・ブロッコリー・ほうれん草・エンドウ豆・サツマイモ・ナッツ類など |
体臭と食べ物の関係は深く、食べてから数時間後に影響が出るものがあれば、腸内で腐敗して皮膚から臭いが排出されるなど、さまざまなケースがあります。
なかでも肉料理は、体臭を強くさせる可能性がある成分を含むので、体臭が気になる人にとっては食べ過[…]
動物性脂質
動物性脂質の過剰摂取により悪化するニオイとその理由
動物性脂質は、体を動かすエネルギーとなりますが、過剰に摂取することで皮脂の過剰分泌を促します。動物性脂肪を過剰に摂取することで悪化する体臭は、汗臭、加齢臭、ミドル脂臭、ワキガ臭、腸内環境の悪化によるニオイの5つです。
・汗臭
動物性脂質は皮脂の分泌を促すため、動物性脂質を控えることで、汗臭の悪化を防ぐことができます。ただし、皮脂は少ながらず分泌されるため、動物性脂質を控えてニオイの悪化を防げても完全にニオイを消すことはできません。
・ワキガ臭
脂質を摂りすぎると、アポクリン腺から分泌される脂質の量が増加してしまいます。ワキガ臭は、アポクリン腺からの分泌物を常在菌が分解することでニオイが発生します。そのため、脂質の分泌量が増加はワキガ臭の悪化を招きます。
・加齢臭
動物性脂質は皮脂の分泌を促します。加齢臭は、皮脂の分泌量が多くなるほど、加齢臭の元となるノネナールが多く生成され悪化してしまいます。皮脂の分泌を抑えるために動物性脂質を摂りすぎないようにしましょう。
・ミドル脂臭
ミドル脂臭の原因の1つである中鎖脂肪酸は皮脂に含まれているため、皮脂量の増加はミドル脂臭の悪化に繋がります。ただし、ジアセチルの生成を抑えることができないため、ミドル脂臭を完全に抑えることはできません。
・腸内環境の悪化
動物性脂質は、消化に時間がかかるため腸内で悪玉菌が増加し、腸内環境の悪化につながります。
動物性脂質の代わりに植物、魚類由来の脂肪を食べよう!
動物性脂質には飽和脂肪酸が多く含まれ、植物性脂質や魚類には不飽和脂肪酸が多く含まれています。不飽和脂肪酸は体内で生成できないため食事から摂取する必要があります。肉類などの動物性脂質だけでなく、植物性脂質、魚類も摂取しバランスの良い食事をしましょう。
具体的な食べ物
下記に動物性脂質や植物性脂質を多く含む食べ物を紹介します。
動物性脂質 |
肉類・ラード・牛乳・ケーキ・チョコレートなど |
植物性脂質 |
植物由来の油・なたね油・オリーブオイルなど |
糖質
糖質の過剰摂取によって悪化するニオイとその理由
糖質は、食物繊維以外の炭水化物を指し、エネルギー源となる栄養素です。しかし、過剰に糖質を摂取すると、皮脂腺を刺激し皮脂の分泌を促します。過剰に糖質を摂取することで悪化する体臭は、汗臭、加齢臭、ミドル脂臭の3つです。
汗臭
動物性脂質と同様に、糖質も皮脂の分泌を促すことから、糖質を控えることで汗臭の悪化を防ぐことができます。お菓子などの炭水化物を食べ過ぎないようにしましょう。
加齢臭
皮脂の過剰分泌は、加齢臭の原因となるノネナールの生成につながるため、皮脂の分泌を促す糖質を食べ過ぎないようにしましょう。
ミドル脂臭
ミドル脂臭の原因の1つである中鎖脂肪酸は皮脂に含まれているため、皮脂量の増加はミドル脂臭の悪化に繋がります。糖質は、皮脂腺を刺激し皮脂の分泌を促すため、中鎖脂肪酸が生成されやすくなります。
具体的な食べ物
下記に糖質を多く含む具体的な食べ物を紹介します。
糖質 | ご飯・麺類・パン・イモ・砂糖・ハチミツなど |
アルコール
アルコール過剰摂取によって悪化するニオイとその理由
アルコールを飲みすぎは、汗臭や疲労臭の悪化につながります。また、アルコールのニオイ(お酒臭さ)も発生してしまいます。
・汗臭
アルコールには発汗作用があります。発汗作用によって多くの汗をかくことによって、常在菌を活発にして汗臭の悪化に繋がります。アルコールを控えるか、アルコールを飲む際は汗をこまめに拭くようにしましょう。
・疲労臭
アルコールを飲みすぎることで、アルコールを分解する肝臓に大きな負担が生じます。肝臓に負担がかかることで、肝機能が低下しアンモニアの分解が困難になる可能性があります。その際に、アンモニア臭が発生するかもしれません。しかし、アルコールを飲まないでいるとストレスが溜まって肝機能が低下するかもしれないため、適量を守って飲むようにしましょう。
・アルコールのニオイ
アルコールを飲みすぎると、アルコールが分解しきれずに、血液内にアルコールやアセトアルデヒド*⁵が流れ、それが口臭や体臭がアルコールのニオイになります。
アセトアルデヒド*⁵…体内に吸収されたエタノールの90%以上は肝臓で酸化されてアセトアルデヒドになる。(省略)生成されたアセトアルデヒドは毒性が強く、細胞膜を破壊する。
引用:泉井亮・妹尾春樹・金田研司,坂井建雄・河原克雅 編,「肝・胆・膵」『人体の正常構造と機能』(2012、日本医事新報社)p296。
辛い食べ物
辛い食べ物によって悪化するニオイとその理由
辛い食べ物を食べることで悪化する体臭は汗臭です。
・汗臭
辛い食べ物を食べることで、額などの顔付近に汗をかきます。その汗によって、汗臭が悪化する可能性があります。
コーヒー
コーヒーは体臭を改善させる
コーヒーにはクロロゲン酸の抗酸化作用があるため、皮脂の酸化を防ぎ、加齢臭の改善につながります。また、コーヒーには便秘の解消にも効果があるとされています。したがって、コーヒーは加齢臭や腸内環境の悪化の対策になります。
コーヒーは体臭を悪化させる
コーヒーはカフェインが含まれており、肝機能の低下や水分不足につながりやすくなるため、飲みすぎには注意しましょう。
カフェインの摂取量
カフェインの摂取許容量は厳密に決められていませんが、厚生労働省の資料によれば、カナダ保険省は下記のように示しています。
○カナダ保健省 (HC)
・健康な成人は最大400 mg/日(コーヒーをマグカップ(237 ml入り)で約3杯)までとする。
・カフェインの影響がより大きい妊婦や授乳中、あるいは妊娠を予定している女性は最大300 mg/日(マグカップで約2杯)までとする。
・子供はカフェインに対する感受性が高いため、4歳~6歳の子供は最大45mg/日、7歳~9歳の子供は最大62.5mg/日、10歳~12歳の子供は最大85mg/日(355ml入り缶コーラ1~2本に相当)までとする。
カフェインの摂取許容量には個人差がありますが、カフェインの取りすぎには注意しましょう。
にんにく
にんにくの過剰摂取によって悪化するニオイとその理由
ニンニクは、疲労回復や免疫力向上の効果があります。しかし、ニンニクにはアリシンというニンニク独特のにおい成分が含まれています。アリシンが消化され、血液とともに流れて、体臭や口臭としてニオイが発生しますが、短時間でニオイはなくなります。
この記事を読まれている方は、ニンニクを食べた翌日の体臭を気にされている方なのではないでしょうか。
食後にしっかりブレスケアをしたのに、学校や職場で昨日ニンニク食べた?と聞かれてしまい、ニンニク料理を食べたいけど躊躇してしまう方も少なくない[…]
ニオイの専門家に体臭測定してもらおう!
これまで体臭を改善する食べ物と悪化する食べ物について書きました。ニオイによって関係のある食べ物とそうでない食べ物があるため、ご自身の体臭がどんなものなのか知らなければ、食生活を変えても効果が発揮されない可能性があります。
そこで、ご自身のニオイについて知るために、専門家に体臭を測定してもらえるキット、オドレート(odorate)がおすすめです。
オドレートは、専用のTシャツを24時間着用して、郵送するだけで自分の体臭の種類や強さを知ることができます。気になる方はチェックしてみてください!
まとめ
最後に、食べ物ごとに、その食べ物の効果や具体な食べ物、そしてそれがどんなニオイに影響があるのか表にまとめました。
体臭が改善する食べ物 | 主な効果 | 具体的な食べ物 | |
抗酸化食品 | 活性酸素を抑えて酸化を防ぐ |
・ビタミンA,C,E |
・加齢臭 |
アルカリ性食品 | 体内をアルカリ性に保つ | ・クエン酸が含まれる食べ物 レモン、梅など |
・ミドル脂臭 ・疲労臭 |
腸内環境を整える食べ物 | 善玉菌を増やす | ・プロバイオティクス 納豆、チーズ、漬物、味噌、醤油など ・プレバイオティクス リンゴ、バナナ、海藻類、ゴボウなど |
・腸内環境の悪化によるニオイ |
体臭を悪化させる食べ物 | 過剰摂取による悪い効果 | 具体的な食べ物 | どのニオイに影響があるか? |
動物性たんぱく質 | ・分解の過程でアンモニアが発生 ・汗に含まれるたんぱく質の増加 ・悪玉菌の増加 |
肉類、魚介類、卵、乳製品 |
・ワキガ臭 |
糖質 |
・皮脂分泌量の増加 |
ご飯、麺類、パン、イモ、砂糖、ハチミツ | ・汗臭 ・加齢臭 ・ミドル脂臭 |
動物性脂質 |
・皮脂分泌量の増加 |
肉類、ラード、牛乳、ケーキ、チョコレート、アイスクリーム、バター等 |
・汗臭 |
アルコール |
・発汗作用 |
お酒 |
・汗臭 |
辛い食べ物 |
・発汗促進 |
辛い食べ物 | ・汗臭 |
コーヒー | ・皮脂分泌量の増加 ・肝機能の低下 |
コーヒー | ・汗臭 ・加齢臭 ・疲労臭 |
にんにく | ・アリシンが血液を流れ、汗とともにニオイが発生 | にんにく | にんにくのニオイ |
自分の体からどのような臭いが発生しているのかを確認したいが、セルフチェック方法がわからない方に向けて、本記事を書きました。
体臭の種類や体臭の発生部位をご自身で確認することはできますが、体臭の強弱を確認することは難しいです。ただ、体臭の強[…]
この記事を読まれている方は、自分の体から玉ねぎのような臭いがする。または、玉ねぎのような臭いがすると言われた経験やお悩みがある方なのではないでしょうか。
記事内では、自分の体臭が玉ねぎのような臭いになってしまう原因と臭いが発生するメカニズ[…]
引用・参考文献
*¹e-ヘルスネット厚生労働省 生活習慣病予防のための健康情報サイト
*⁵泉井亮・妹尾春樹・金田研司,坂井建雄・河原克雅 編,「肝・胆・膵」『人体の正常構造と機能』(2012、日本医事新報社)p296。
五味常明『なぜ一流の男は匂いまでマネジメントするのか?』(2015、かんき出版)p.155